給 料 を 払 っ て も ら え な い と き

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職 場 ト ラ ブ ル レ ス Q 隊

1. 給料支払いの4大原則

 

原則名 内容 解説
① 通貨払いの原則 賃金は通貨(現金)で支払うこと 原則として、現物や物品、商品券ではなく、日本円の現金で支払う必要があります。例外として、労働者の同意があれば、銀行口座への振込も認められます。
② 直接払いの原則 賃金は労働者本人に直接支払うこと 労働者の家族や代理人ではなく、労働者本人に支払う必要があります。例外として、本人の委任があれば代理人への支払いも可能です。
③ 全額払いの原則 賃金は原則として全額支払うこと 勝手に賃金から差し引く(天引きする)ことは禁止されています。ただし、**法令や労使協定に基づく控除(所得税、社会保険料など)**は認められます。
④ 毎月1回以上・一定期日払いの原則 賃金は毎月1回以上、一定の日に支払うこと 「いつ支払われるか」が不明だと労働者の生活が不安定になるため、**定期的な支払い日(例:毎月25日など)**が必要です。年俸制や歩合制でも、この原則は適用されます。

■ 補足:ボーナスや退職金などは?

上記4原則は、主に賃金(毎月の基本給など)に対するルールです。
一方、賞与(ボーナス)や退職金などの
臨時的な支給分
には、これらの原則は厳密には適用されないことが多いです。ただし、就業規則や労使協定での定めに従う必要があります。


■ 実務上の注意点(企業側)

  • 給与の「天引き」は、法定控除以外では必ず労使協定が必要(住居費、食費、社内積立金など)

  • 振込先変更時の本人確認を厳格に行う(なりすまし防止)

  • 給与明細は法定上の義務はないが、交付が望ましい(給与明細を発行していないとトラブルになりやすい)

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案外それだけで解決することも多いですよ!

でも、それでもだめなら、労基署への労働基準法違反申し立てをサポートします。

2. 未払い給料を回収する裏ワザをSTEP別に伝授!

【STEP 1】会社への請求・交渉(まずは穏便に)

  • 給与明細、タイムカード、雇用契約書などを証拠として準備

  • 口頭ではなく書面やメールで請求する(記録に残す)

  • 「○月○日までに支払いがない場合は、労働基準監督署等に申し立てます」と明確に伝えると効果的

ポイント:感情的にならず、冷静に「いつ」「いくら」「何の対価か」を明示する


【STEP 2】労働基準監督署へ申告する(行政対応)

  • 管轄の労働基準監督署に申告(匿名でも可能)

  • 未払いが事実であれば、監督官が会社に対して是正勧告・指導を行う

  • 是正勧告が無視されれば、最終的に刑事告発もあり得る

備考:ただし、監督署はあくまで「指導」が主で、強制的な回収までは行えません


【STEP 3】労働審判・訴訟・支払督促(法的手段)

■ 労働審判(地方裁判所に申し立て)

  • 裁判よりも迅速(3回以内で原則終結)

  • 裁判官+労使双方の専門委員が話を聞き、和解または判断を出す

■ 民事訴訟(通常の裁判)

  • 争点が複雑・高額な場合に適する

  • 最終的には判決で強制執行が可能

■ 支払督促(簡易裁判所)

  • 金額が明確で争いが少ない場合に最適

  • 裁判所から「○日以内に支払いなければ強制執行に移る」という通告が行われる

注意:会社が倒産状態の場合、法的手段の実効性は乏しくなることも


【STEP 4】未払賃金立替払制度(会社倒産時)

厚生労働省の「未払賃金立替払制度(労災基金)」を利用できる場合があります。

  • 倒産した会社に半年以上勤務していた者が対象

  • 最大80%(上限あり)の未払賃金が立替払いされる

  • 管轄は独立行政法人「労働者健康安全機構」


■ でも時効には注意!

  • 5年で時効消滅となるため、早めの対応が必要です。

  • 時効中断(中止)には内容証明郵便での請求が有効。

3. 勤務先倒産時における労働者の基本的な対応フロー

ステップ 行動内容 補足・ポイント
① 状況把握 倒産の種類と現状を確認(破産/民事再生/会社都合閉鎖 など) 会社からの文書・通知や、登記簿、裁判所公告などで確認できます。
② 未払賃金の確認と記録 最終の給与、残業代、退職金、有休未消化分などを計算 タイムカード、雇用契約書、給与明細、出勤簿などの証拠を確保しておくことが極めて重要です。
③ 雇用保険の手続き 会社都合退職としてハローワークで失業給付の申請 「離職票」や「倒産証明書」が必要。会社からもらえない場合でも特別措置あり。
④ 未払賃金立替払制度の申請 一定要件を満たせば、国が80%を立替払い 労災保険を扱う独立行政法人(労働者健康安全機構)を通じて申請。後述参照。
⑤ 債権者として届け出 破産管財人が選任された場合、債権届出書を提出 給与・退職金なども「労働債権」として請求できます。

■ 倒産の形態と労働者への影響

倒産形態 内容 労働者への影響
私的整理 経営者が自己判断で事業停止・清算 手続が不透明で、従業員が置き去りにされやすい
民事再生 裁判所管理のもと再建を目指す 雇用継続もあり得るが、リストラ対象になることも
会社更生 主に大企業対象の再建型手続 労働者の地位は比較的保護されるが、給与支払いは遅延しやすい
破産(自己・他者申立) 法的に清算される倒産 原則として解雇、給与の支払い停止、雇用終了となる

■ 未払賃金立替払制度(厚生労働省)

● 制度の概要

  • 倒産した企業の労働者に対し、最大80%の未払賃金を国が立替払する制度

  • 対象は「賃金支払確保法」に基づき、企業が6か月以上継続して事業を行っていたこと等が要件

● 支給上限(2024年現在)

  • 退職時年齢30歳未満:88万円まで

  • 30歳以上45歳未満:176万円まで

  • 45歳以上:296万円まで

● 主な提出書類

  • 賃金台帳、出勤簿、雇用契約書、労働者名簿、離職証明書など

  • 申請先:最寄りの労働基準監督署


■ 雇用保険(失業給付)の申請

倒産は「会社都合退職」に該当しますので、待機期間7日+給付制限なしで、早期に失業手当の受給が可能です。
ただし「離職票」が発行されないケースも多いため、労働基準監督署やハローワークに相談し、倒産証明の特例対応を求めてください。


■ 債権届出と優先順位(破産時)

労働債権(未払給与や退職金)は、破産手続において優先的に保護される債権です。

債権の種類 優先順位
① 労働債権(3か月以内の給与・退職金など) 最優先(財団債権)
② 税金・社会保険料 優先債権
③ 一般債権(取引先など) 最後(残余配当)

■ 実務者からのアドバイス!

  • 倒産の兆候がある場合、直近の給与明細や出勤簿などのコピーを事前に保管しておくと有利です。

  • 私的倒産(夜逃げ・無通知)で会社に連絡が取れない場合は、労基署とハローワークに速やかに相談を。

  • 弁護士や労働組合に相談することで、法的・交渉的なサポートを受けられることがあります。(当事務所からも紹介できます)


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