企業が行う「リストラ(リストラクチャリング/Restructuring)」は、本来「事業の再構築」や「組織改革」を意味する中立的な経営用語ですが、日本では主に人員整理(人員削減)を指す意味で使われることが多くなっています。以下では、一般的な見地から、企業によるリストラの目的・手段・影響などを整理してご説明いたします。
企業がリストラを行う主な目的は、以下のような経営改善や生産性向上にあります。
経営資源の最適化(ヒト・モノ・カネの再配置)
業績不振の立て直し
市場環境の変化への対応
事業の選択と集中(不採算部門の整理や撤退)
新規事業への転換資源の確保
リストラにはさまざまな手段があります。人員削減だけでなく、以下のような多角的なアプローチが取られます。
区分 | 内容 |
---|---|
人員面 | 希望退職の募集、早期退職制度、出向・転籍、整理解雇など |
組織面 | 部門統廃合、管理職のスリム化、役職定年の見直し |
資産面 | 不動産売却、遊休資産の処分、事業売却・譲渡 |
財務面 | 負債圧縮、資本構成の見直し、借入金返済計画の再構築 |
事業面 | 不採算事業の撤退、M&Aの実施、海外進出・撤退の判断 |
とくに「整理解雇(いわゆるリストラ解雇)」は、労働契約法や判例法理により厳格に判断されます。日本においては以下の4要件(整理解雇の4要件)が代表的です。
人員削減の必要性:経営悪化など合理的理由があるか
解雇回避努力:配転・出向・希望退職の募集など
人選の合理性:客観的で公平な基準に基づくか
手続の妥当性:労働者への説明・協議がなされたか
企業がこれらを満たさずに一方的に解雇を強行すると、「不当解雇」として裁判で争われ、無効となることもあります。
ご自身で違法な解雇だと思われる場合は、裁判所に対して従業員としての地位保全の
仮処分を申請したうえで、解雇無効確認訴訟等を提起します。(訴訟手続きについては弁護士に依頼するのがよいでしょう)
解雇が無効であれば、引き続き出社して勤務することができます。
また、解雇となっても就労期間分のお給料は請求できます。
アルバイトであっても、労働契約書または労働条件通知書によって、以下のような基本的な労働条件を明示する義務があります(労働基準法第15条)。
雇用期間(期間の定めの有無)
就業場所と業務内容
始業・終業時刻、休憩・休日
賃金の計算・支払い方法、締日・支払日
解雇の事由など
注意点:「口頭のみの契約」「シフト制で曖昧な時間管理」は後のトラブルの原因になりやすいので、書面での確認・保管をおすすめします。
アルバイトであっても最低賃金法や労働基準法の適用対象です。
地域別最低賃金(都道府県ごとに設定)を下回る時給は違法です。
所定労働時間を超える労働(通常は1日8時間、週40時間)には、時間外割増賃金(原則25%増)が必要です。
深夜労働(22時~5時)にはさらに深夜割増(25%増)も。
例:通常時給1,000円 → 深夜労働では1,250円以上に。
シフト制アルバイトでは、勤務日の決定とキャンセルルールが重要です。
一度合意したシフトを一方的にキャンセルするのは原則NG(会社側にも労働者側にも)。
突然のシフトカット(勤務日数の大幅減)には、「実質的な解雇」と判断されるケースも。
シフトの決定方法(希望制・固定制など)を明確にしておくことが大切です。
労災保険はすべての労働者が対象。アルバイト中のケガも保険の対象です。
雇用保険は、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば加入義務があります。
「アルバイトだから保険に入れない」という説明は誤りです。
未成年者(18歳未満)は深夜業務(22時以降)や危険作業が制限されます。
保護者の同意書が必要なケースもあります。
学生であっても労働法の保護対象です。学業優先の調整が必要です。
上司や社員からのハラスメント、不当な扱い、無償労働の強要などに対しては、証拠を残し、労基署や労働相談窓口に相談を。
「うちはそういうやり方だから」と言われても、それが法律に違反していれば従う義務はありません。
証拠(LINE、録音、シフト表など)を取っておくことが重要です。
退職時には給与・残業代などを正しく精算してもらう。
「辞めさせてもらえない」という相談もありますが、法律上は退職の自由があり、原則として2週間前の意思表示で退職可能です(民法627条)。
最終勤務後の給与支払いも遅延なく行われるべきです。
アルバイト先によっては、以下のような就業規則が存在する場合もあります:
他社での勤務(ダブルワーク)の申告義務
同業他社への就業制限(競業避止義務)
契約書や社内ルールで副業禁止となっている場合には注意が必要です。
アルバイトとはいえ、労働契約に基づく労働者としての立場に変わりはありません。
「短期だから」「学生だから」と甘く見ることなく、自分の権利と義務を正しく理解し、安心して働ける環境を選ぶことが大切です。
外国人を雇用する際、最初に確認すべきポイントは、本人の在留資格です。
項目 | 内容 |
---|---|
在留資格の種類 | 就労が可能な資格か(例:技術・人文知識・国際業務、特定技能など) |
在留期限 | 有効期限内かどうか |
資格外活動許可 | 留学生や家族滞在者がアルバイトをするには許可が必要 |
在留カード・パスポート・資格外活動許可証明書などを、必ず原本で確認・記録しておきましょう。
外国人を、不法滞在中や就労不可の在留資格で働かせた場合、雇用主も処罰の対象となります(入管法第73条の2)。
懲役3年以下または罰金300万円以下
法人の場合は事業停止・風評リスクも大
「知らなかった」では済まされません。「確認を怠ったこと」自体が違法とされます。
外国人を新たに雇い入れた場合、または退職した場合、ハローワークへの届出(外国人雇用状況の届出)が義務です(雇用対策法第28条)。
雇用保険の加入有無にかかわらず必要
届出期限:雇用開始日・終了日の翌月10日まで
提出には在留カード番号、氏名、生年月日、在留資格などが必要になります。
外国人労働者であっても、原則として労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの適用対象です。
時間外・休日・深夜労働には割増賃金が必要
労災保険の適用あり(国籍不問)
雇用保険・社会保険も、条件を満たせば加入義務あり
契約書や労働条件通知書の交付義務あり
できれば母国語や英語などでも説明資料を用意するとトラブル予防になります。
実務上は、法律以上に文化的・宗教的・生活習慣の違いに配慮することが、職場環境の安定に直結します。
食事・礼拝・服装などへの理解
日本語が苦手な場合、わかりやすい指示の工夫(視覚資料など)
ハラスメント防止・相談体制の整備
相談窓口や研修制度の導入
「受け入れるだけ」ではなく「活躍できる職場環境」の整備が重要です。
技能習得が目的。単純労働は禁止。目的外の業務に従事させると違反。
実習計画に基づいた適正な運用が必要。
特定産業分野で即戦力として認められた制度。受け入れには事前の登録・届出が必要。
受入企業は「支援計画」を策定し、住居支援・生活支援なども行う義務あり。
週28時間以内、学校が定めた期間に限定(長期休暇中は週40時間まで)
この制限を超えると本人も事業者も違法になります。
解雇や契約満了時には、日本人同様の解雇予告・解雇理由説明義務があります。
帰国支援や転職支援を求められることもあるため、本人の在留資格の今後の扱いにも注意が必要です。
外国人雇用に積極的な企業には、厚労省等からの助成金や支援制度があります。
例:外国人定着支援事業、日本語教育研修補助 など
地方自治体の支援窓口も活用するとよいでしょう。
外国人労働者の雇用は、人手不足の解消だけでなく、多様性ある職場づくりの大きなチャンスでもあります。しかしその反面、在留資格や労務管理に関しては、慎重で制度的な対応が不可欠です。
「安く使える労働力」ではなく、対等な“職場の一員”として迎える姿勢が、長期的に信頼と成果を生む鍵となります。
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