相続とは、被相続人(相続される人)が死亡した場合に、その者の法律関係が相続人(相続する人)に包括的に移転することをいいます。ここでは、相続の開始原因、誰が相続人となるか、相続財産の分配率、相続の承認と放棄等についてご説明いたします。
一般に相続は、被相続人の死亡または失踪宣告による死亡擬制によって開始されます。
失踪宣告とは、民法第30条に規定してあり、行方不明の人が一定の年月を経過しても生死不明の時に、家庭裁判所への申立により行方不明者を死亡したものとして認めてもらう制度です。
これにより、失踪者の不安定な財産関係は、相続を開始させることによって新しく確定させることができます。
失踪宣告には2種類あり普通失踪と特別失踪といいます。
普通失踪 | 不在者の生死が7年間わからないとき |
特別失踪 | 戦争や船の難波その他地震、洪水などの危難が終わってから1年間生死不明のとき |
普通失踪では7年間経った時に死亡したものとみなし、相続が開始されます。
特別失踪では危難が去ったときに死亡したものとみなし、相続はその時点で開始します。
相続人となりうるのは、子・孫などの直系卑属と父母(祖父母)などの直系尊属および被相続人の兄弟姉妹とその子(被相続人の甥姪)です。
被相続人の配偶者は常に相続人となります。
相続順位は、以下のようになります。
第一順位 | 被相続人の子(代襲相続であれば孫) |
第二順位 | 被相続人の父母(両方いなければ祖父母) |
第三順位 | 被相続人の兄弟姉妹(代襲であれば甥姪) |
配 偶 者 |
常に第一順位として相続人となる |
※代襲相続とは、相続人となるべき者が相続欠格または相続開始以前に既に死亡するなどして相続権を失っているときに、その直系卑属が相続人となることです。
相続人となりうるのは、子・孫などの直系卑属と父母(祖父母)などの直系尊属および被相続人の兄弟姉妹とその子(被相続人の甥姪)です。
被相続人の配偶者は常に相続人となります。
相 続 人 | 相 続 財 産 の 全 て |
子または孫のみ | 子または孫(代襲者)がすべて相続 |
父母または祖父母のみ | 父母又は祖父母がすべて相続 |
兄弟姉妹または甥姪のみ | 兄弟姉妹または甥姪がすべて相続 |
配偶者と子または孫 | 配偶者と子または孫(代襲者)が2分の1ずつ相続 |
配偶者と父母または祖父母 | 配偶者が3分の2、父母または祖父母が3分の1の割合相続 |
配偶者と兄弟姉妹または甥姪 | 配偶者が4分の3、兄弟姉妹または甥姪が4分の1の割合で相続 |
※子どもが相続人の場合、非嫡出子(配偶者以外との間にできた子)は嫡出子(配偶者との間の子)の2分の1の相続割合になります。また兄弟姉妹が相続人の時は、異父母との間の兄弟は同父母の間の兄弟の2分の1のなります。
相続について、一定の非行をはたらいた者の相続権を否定すること。
相続欠格事由に該当する者は、法律上なんらの手続きをしなくても、
当然に相続人とはなれません。
相続欠格事由は以下のとおりです(民法891条)
1 |
故意に被相続人又は先順位もしくは同順位にある者を死亡させた者。 また死亡させようとして刑に処せられた者。 |
2 | 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。 |
3 | 詐欺または強迫によって、被相続人の遺言の作成、取り消し、変更を妨げた者。 |
4 | 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言を作成、取り消し、変更をさせた者。 |
5 | 被相続人の相続に関する遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者。 |
遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をしたり、重大な侮辱を与えた時、または推定相続人に著しい非行があったときは、被相続人はその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
相続人は自己の為に相続が発生したことを知った時、相続人はその日から3ヶ月以内(熟慮期間)に単純承認か限定承認若しくは相続の放棄をすることができます。
相続人が被相続人の権利義務を無限に承継することです。(資産も債務もまとめて相続する)相続人が以下のような行為をすると単純承認したものと扱われます。
1 |
相続人が、相続財産の一部または全部を処分した時。 |
2 | 相続人が、3ヶ月の熟慮期間内に限定承認または相続の放棄をしなかった時。 |
3 | 相続人が、限定承認や放棄をしたあとでも相続財産を隠匿したり私的に消費するなどした時。 |
相続人は、被相続人の債務および遺贈の弁済を相続財産の範囲内でのみ為すという条件をつけて相続すること。
被相続人の債務額が不明の時に、不安を覚えた相続人が使うことが多いです。この限定承認は、相続人全員で(放棄したものを除く)申し立てなければなりません。
相続人は、明らかに自己に不利になると思われる相続を放棄することができます。
この場合家庭裁判所に放棄する旨を申述しますが、放棄すると初めから相続しなかったものと見なされます。相続放棄の撤回は原則としてできません。
期限の定めのある相続手続きの種類は以下の通りです。
項 目 | 死 亡 後 |
死亡届(死体埋葬許可申請書の提出) | 7日以内 |
住民票異動届け(世帯主の死亡時のみ) | 14日以内 |
相続放棄または限定承認の決定 | 3ヶ月以内 |
準確定申告の届け出(被相続人の死亡時までの所得の申告) | 4ヶ月日以内 |
相続税の申告(相続税が課税される場合のみ) | 10ヶ月以内 |
葬祭費・埋葬料の受給手続き | 2年以内 |
高額医療費の支払い請求 | 2年以内 |
死亡保険金の請求 | 3年程度が多い |
Q1. 誰が法定相続人になるのですか?
A. 相続人は、配偶者は常に相続人となり、次の順位で血族が相続人になります。第1順位:子(代襲相続あり)、第2順位:父母など直系尊属、第3順位:兄弟姉妹(代襲相続は甥・姪まで)。前順位がいない場合に後順位が相続人になります。
Q2. 相続放棄や限定承認とは何ですか?
A. 相続放棄は、一切の相続財産を受け取らない意思表示です。限定承認は、相続財産の範囲内でのみ債務を負担する制度です。どちらも相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
Q3. 相続欠格とはどういう場合ですか?
A. 相続欠格とは、法律上当然に相続権を失う制度です。たとえば、故意に被相続人を殺害(未遂含む)した場合、遺言書を偽造・破棄した場合などが該当します。
Q4. 相続人の廃除はどうすればよいですか?
A. 被相続人が、生前または遺言により「著しい非行がある相続人」を家庭裁判所に申し立てることで、その者を相続人から除外できます。これを「廃除」と呼びます。廃除が認められれば、その者の代襲者も相続できません。
Q5. 法定相続分はどのように決まっていますか?
A. 相続人の組み合わせによって法定相続分が異なります。
配偶者と子 → 配偶者1/2、子1/2(子が複数なら均等分割)
配偶者と父母 → 配偶者2/3、父母1/3
配偶者と兄弟姉妹 → 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
なお、遺言があればその指定が優先されます。
Q6. 相続手続きで最初に行うべきことは何ですか?
A. まずは死亡届の提出と、戸籍の収集による相続人の調査を行います。その後、遺言書の有無を確認し、遺産の調査・評価を行い、相続方法(単純承認・限定承認・放棄)を選択します。
Q7. 遺言書がある場合とない場合の違いは?
A. 遺言書があれば、原則としてその内容に従って財産分配が行われます(ただし遺留分の制限あり)。遺言書がなければ民法に定める法定相続分に基づいて分割協議が行われます。
Q8. 相続分に不満がある場合はどうすれば?
A. 他の相続人と協議を行うことが前提ですが、話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることが可能です。また、遺留分侵害がある場合は「遺留分侵害額請求」も検討されます。
Q9. 相続放棄をしたら一切の権利義務を失うのですか?
A. はい、相続放棄をすると初めから相続人でなかったことになります。これにより、借金などの負債も引き継ぎません。ただし、他の相続人の順位や割合に影響が出ることもあるため注意が必要です。
Q10. 相続手続きが複雑で困っています。専門家に相談できますか?
A. はい。相続は法律・税務・戸籍・財産管理など多岐にわたるため、専門家の支援が有効です。
よこやま行政書士事務所では、戸籍調査、遺産分割協議書の作成、相続放棄の申述書作成など、相続全般を丁寧にサポートしております。お困りの際はお気軽にご相談ください。
計画的な相続、または円滑な財産の承継手続きをお望みの方は、埼玉県春日部市のよこやま行政書士事務所までお気軽にご相談ください。
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