「遺産分割協議書」とは、相続人全員で話し合って決めた遺産の分け方(分割内容)を、書面で明文化した文書です。
法的には、「民法第907条」に基づき、相続人間で合意に至った内容を証明するために作成されるものです。
この協議書があることで、不動産の名義変更や銀行口座の解約、相続登記、税務申告などの法的・実務的な手続きが可能になります。
機能 | 内容 |
---|---|
法的証明 | 相続人間で遺産の分割に合意したことを証明する公式文書となる |
不動産登記 | 相続登記(名義変更)の際に、法務局に提出する必要書類 |
金融機関手続き | 預貯金の払戻しや有価証券の名義変更の際にも提出を求められる |
トラブル防止 | 将来の争い(いわゆる“争族”)を防止する抑止力として機能 |
遺産分割協議が整うまでの間に生活費や葬儀費用などの支出がある場合、下記の計算式までの払い戻し請求が可能
(相続開始時の預貯金残高×1/3×法定相続分を上限とし、1金融機関あたり150万円まで)
被相続人の介護等において、相続人以外のものが果たした貢献があった場合、
特別寄与料として金銭による請求が可能となりました。
配偶者が亡くなった時、亡くなった側の所有していた不動産に住む配偶者が、生涯にわたって(または一定の期間)その不動産を無償で使用できる権利が創設されました。
遺産分割協議書のモデルケース(書式)をご用意致しました。
相続人のうち、特定の1人が全ての遺産を相続する場合の書式です。
遺 産 分 割 協 議 書
令和○○年×月△日鶴原鳥男の死亡により開始した相続につき、共同相続人である鶴原羽根子、鶴原亀子は次のとおり相続財産について遺産分割の協議をした。
1.相続人、鶴原羽根子は、下記の不動産を含む相続財産の全てを取得する。
〈土地〉
所在 埼玉県春日部市大沼123番地4号
地番 123番4
地目 宅地
地積 300㎡
〈建物〉
所在 埼玉県春日部市大沼123番地4号
家屋番号 123番4の1
構造 木造かわら葺2階建
床面積 1階 56.5㎡
2階 45.3㎡
2.本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産は、相続人鶴原羽根子が取得する。
上記のとおり協議が成立したので、その成立を証するため本書面2通を作成し、各自が署名、押印の上それぞれ1通を所持する。
令和○○年×月▲日
埼玉県春日部市大沼123番地4号 鶴原羽根子 実印
埼玉県春日部市谷原456番地7号 鶴原亀子 実印
こちらは、複数の相続人がそれぞれの遺産を相続する場合の書式です。
遺 産 分 割 協 議 書
被相続人猪山猿彦は令和●●年◇月■日に死亡したので、共同相続人である猪山鳩子、猪山竜男及び猪山豚美は、その相続財産について遺産分割の協議を行い、下記のとおり決定した。
1.猪山鳩子が相続する財産
〈土地〉
所在 埼玉県春日部市大沼987番地6号
地番 9876番地14
地目 宅地
地積 200㎡
〈建物〉
所在 埼玉県春日部市大沼987番地6号の1
家屋番号 9876番14
構造 木造スレート葺3階建
床面積 1階98.8㎡
2階76.8㎡
2.猪山竜男が相続する財産
(1)りそな銀行春日部支店 定期預金 口座番号123456 500万円
(2)みずほ銀行春日部支店 普通預金 口座番号654321 500万円
3.猪山豚美が相続する財産
(1)埼玉りそな銀行春日部支店 普通預金 333万円
(2)現金 1,080万円
(3)●○□作の書画
4.猪山鳩子は、本件遺産分割の代償金として猪山豚美に対し100万円を、
令和○年×◎月末日限り支払う。
5.遺産分割協議の時点では存在が把握されていない遺産に属する資産乃至債務が発見されたときは、
猪山鳩子が取得乃至負担を引き受けるものとする。
以上のとおり遺産分割の協議が成立したことを証するため、相続人全員が署名押印した本協議書3通を作成し、各相続人において各1通を保有するものとする。
令和 年 月 日
埼玉県春日部市大沼123番4号
相続人 猪山鳩子 印
埼玉県春日部市大沼123番4号
相続人 猪山竜男 印
埼玉県春日部市大沼123番5号
相続人 猪山豚美 印
上に掲載したのは、ごく一般的なタイプのものです。
そのままご使用いただく際はご注意ください。
遺産分割協議書の作成には、ご家族ごとの相続特性を反映させる必要が
ございますので、相続取り扱い実績の豊富な当事務所へお任せ下さい。
またご不明な点やご心配事がございましたら、どうぞお気軽に
よこやま行政書士事務所が運営する、
「かすかべ相続支援センター」までお問い合わせ下さいませ。
遺産分割協議書を作成する時の必要書類は次のものです。
遺産分割協議書の作成後、個別の財産の名義変更手続に必要なものは次のような書類です。
Q1. 遺産分割協議書とは何のために作成するのですか?
A. 相続人全員が話し合って合意した遺産の分け方を証明するための書類です。銀行・法務局・保険会社・税務署などの手続きで必要になる、最も重要な相続書類の一つです。
Q2. 相続人が一人だけの場合でも必要ですか?
A. 原則として協議書は不要ですが、相続人が1人であることを証明するために、戸籍一式や法定相続情報一覧図の提出を求められることがあります。必要に応じて簡易的な遺産承継書を作成することもあります。
Q3. 相続人の中に1人だけ反対している人がいます。協議書は作れますか?
A. できません。相続人全員の合意がなければ遺産分割協議は無効です。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停や審判の申立てを行う必要があります。
Q4. 相続人が遠方にいて直接集まれません。どうすればいいですか?
A. 協議書は郵送による署名・押印・印鑑証明書の添付でも有効です。電子署名やFAXは正式な証明書類とはなりませんので、実印による署名と印鑑証明書の提出が必要です。
Q5. 協議書にはどんな内容を書けばいいのですか?
A. 被相続人の情報(氏名・本籍・死亡日)、相続人全員の氏名・住所、相続財産の詳細と取得者、特記事項(代償分割・換価分割など)、そして署名・実印の押印が必要です。不動産は登記簿に基づいた正確な表示が求められます。
Q6. 相続財産の分け方は必ず法定相続分どおりでなければいけませんか?
A. いいえ。相続人全員の合意があれば、どのように分けても自由です。たとえば「長男がすべて相続」「不動産は妹、預金は兄」なども可能です。ただし遺留分の侵害がないかは注意が必要です。
Q7. 遺言書がある場合でも遺産分割協議書を作ることはありますか?
A. 遺言内容に全員が納得すれば不要ですが、遺言と異なる分割を望む場合や遺言で分けきれない財産がある場合には協議書を作成します。遺言書がある=協議書は不要とは限りません。
Q8. 協議書の書き方を間違えるとどうなりますか?
A. 書類不備によって登記や口座解約が受理されないケースがあります。特に不動産の表記ミス、押印漏れ、印鑑証明書の期限切れなどには要注意です。専門家による作成・チェックが推奨されます。
Q9. 協議書を自分で作ることは可能ですか?
A. 法律上は可能です。ただし、相続関係や財産内容が複雑な場合や誤記があった場合のリスクを考えると、行政書士などの専門職による作成が安心です。特に不動産を含む場合は、正確な登記情報に基づいた表記が求められます。
Q10. そちらの事務所に依頼すると、どんなサポートが受けられますか?
A. よこやま行政書士事務所では、以下のような業務を一括で対応可能です。
戸籍・住民票・印鑑証明など必要書類の収集
相続関係の確定・相続関係説明図の作成
財産目録の作成(評価証明等の取得含む)
遺産分割協議書の法的整合性チェックと作成
税理士・司法書士との連携(相続税申告・登記)
「遺産分割協議書の達人」業務取扱エリア一覧
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